障害年金を受給しながら傷病手当金をもらう方法|条件・計算例を解説

年金・手当金ガイド

はじめに

障害年金を受給している方が、さらに傷病手当金をもらうことは可能なのでしょうか?
結論から言うと、一定の条件を満たせば、障害年金と傷病手当金の両方を受給することができます。 ただし、支給額の調整が行われることがあり、無条件で満額を受け取れるわけではありません。

この記事では、障害年金と傷病手当金の基本を解説しながら、両方を受給するための条件や計算例 を紹介していきます。


1. 障害年金と傷病手当金の基本

1-1. 障害年金とは?

障害年金は、公的年金制度の一部であり、病気やケガによって一定の障害を負った場合に支給される給付です。

種類

  • 障害基礎年金(国民年金に加入していた人向け)
  • 障害厚生年金(厚生年金に加入していた人向け)

障害年金は、就労の有無に関係なく 支給されます。

1-2. 傷病手当金とは?

傷病手当金は、健康保険に加入している被保険者が病気やケガで働けなくなった場合に支給される給付金 です。
主に会社員や公務員が加入する健康保険で利用できます。

支給条件

  1. 業務外の病気やケガで働けなくなった場合
  2. 4日以上連続して仕事を休んだ場合
  3. 給料がもらえない、または減額されている場合
  4. 健康保険に加入していること

傷病手当金は、休職している間の収入を補填する制度であり、最長1年6ヶ月 受給可能です。


2. 障害年金と傷病手当金の併用は可能?

2-1. 基本的に両方受給は可能

障害年金と傷病手当金は、それぞれ目的が異なる給付金であるため、同時に受給することは可能です。
しかし、傷病手当金をもらう際には、障害年金の受給額が調整されることがあります。

2-2. 傷病手当金と障害厚生年金の関係

特に、障害厚生年金を受給している場合、傷病手当金と支給調整されることがあります。

健康保険法では、

「傷病手当金と障害厚生年金が重複する場合、傷病手当金の額が調整される」
と規定されています。

2-3. 調整が行われる場合

以下のようなケースでは、傷病手当金が減額または不支給になる可能性があります。

ケース① 障害厚生年金を受給している場合

→ 傷病手当金の額が、障害厚生年金の額を超える場合、差額分のみ支給される。

  • 例:障害厚生年金が月10万円、傷病手当金が月15万円の場合
    → 差額の5万円のみ支給

ケース② 障害基礎年金のみ受給している場合

→ 障害基礎年金は傷病手当金の支給額に影響を与えない。

  • 例:障害基礎年金が月8万円、傷病手当金が月15万円の場合
    → 満額の15万円支給

3. 傷病手当金の計算方法

傷病手当金の支給額は、休職前の給与を基に計算 されます。

3-1. 計算式

(過去12ヶ月間の標準報酬月額の平均 ÷ 30)× 2/3

これは、1日あたりの支給額 を求める計算式です。

3-2. 計算例

ケース①:平均月収30万円の場合

(30万円 ÷ 30)× 2/3 = 6,666円

1日あたり 6,666円 支給されるため、
月額で 約20万円(6,666円 × 30日) の支給。

ケース②:平均月収25万円の場合

(25万円 ÷ 30)× 2/3 = 5,555円

1日あたり 5,555円 支給されるため、
月額で 約16万6,650円(5,555円 × 30日) の支給。

※傷病手当金は、健康保険の標準報酬月額を基に計算 され、1ヶ月を30日とみなして日額を算出 します。実際の勤務日数ではなく、統一基準として30日で割ることになっています。


4. 併用時の支給額調整シミュレーション

4-1. 具体的なケース

【ケース①】障害厚生年金10万円 + 傷病手当金15万円

→ 差額5万円のみ支給

【ケース②】障害基礎年金8万円 + 傷病手当金15万円

→ 傷病手当金は満額支給(15万円)


5. 受給するための手続き

5-1. 傷病手当金の申請手順

  1. 医師の診断書を取得
  2. 会社(事業主)から証明をもらう
  3. 健康保険組合または協会けんぽに申請
  4. 審査後、支給開始(通常1ヶ月程度)

6. まとめ

  • 障害年金と傷病手当金は併用可能
  • 障害厚生年金を受給していると傷病手当金が減額される可能性あり
  • 障害基礎年金のみ受給の場合、傷病手当金の額には影響なし
  • 傷病手当金の計算方法を理解し、受給額を確認
  • 申請は医師の診断書と会社の証明が必要

両方を受給したい場合は、どの年金を受け取っているかを確認し、傷病手当金がどれくらい支給されるかを試算することが重要です。

傷病手当金の受給を考えている方は、健康保険組合や社労士に相談しながら進める ことをおすすめします!

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