1. はじめに
現代社会は「普通」に働けることを前提として成り立っています。決められたルールの中で、一定のスピードで業務をこなし、組織の一員として適応することが求められます。しかし、発達障害やADHDを抱える人々にとって、この「普通」は決して簡単なものではありません。
この記事では、私が社会で生きづらいと感じる理由を掘り下げるとともに、IQスコアの偏りがもたらす影響や、私が営業職でトップになれた理由、そしてその成功が長続きしなかった理由を詳しく解説します。ただし、これはあくまで私のケースであり、人によって特性の現れ方や数値の出方は異なることをご理解いただきたいです。
2. 発達障害やADHDの特徴と社会とのズレ
発達障害やADHDを持つ人々は、一般的な社会の枠組みの中で適応することが難しいと感じることが多いです。これは、彼らの認知や思考の特性が、一般的な仕事のやり方と合わないためです。
2-1. 処理速度の違い
多くのADHDの人は、情報の処理速度が一般の人よりも遅いことがあります。これは決して「能力が低い」というわけではなく、情報を深く考えたり、独自の視点で解釈したりするために時間がかかるという特性です。
例えば、私も処理速度の遅さを感じることが多かったです。営業職では、即断即決を求められる場面が多く、それが得意な人が活躍しやすい環境でした。しかし、私のようにじっくり分析しながら戦略を立てるタイプの人にとっては、このスピード感が大きな障害となりました。
2-2. 指示通りに動くことの難しさ
ADHDの人は、決められたルールやマニュアルに従うのが苦手なことが多いです。彼らは創造的なアプローチを好み、「自分なりの工夫」を加えながら仕事をしたいと考えます。
私も、「決められた型にハマる営業」が苦手でした。与えられたスクリプトをそのまま使うのではなく、相手の性格や状況に応じて最適なトークを考え、試行錯誤しながら営業スタイルを作り上げていきました。この適応力こそがトップセールスにつながった要因の一つでした。
3. 私の営業経験:トップになれた理由
ADHDの特性を持ちながらも、私は営業職でトップの成績を収めることができました。その理由は以下のような点にあります。
3-1. 実践型の学習能力
私は、机上の理論よりも実践を通して学ぶことを得意としていました。営業の場面でも、マニュアル通りに進めるのではなく、実際のやり取りを重ねながら最適な方法を見つけることに注力しました。
営業の世界では、試行錯誤しながら自分なりのやり方を確立することが重要です。私は、顧客の反応を見ながらアプローチを微調整し、データとして蓄積することで成功率を高めていきました。
3-2. 相手に合わせる適応力
瞬発的な対応力は低くても、相手の特徴を分析し、それに合わせたアプローチをする力は優れていました。このため、王道の営業スタイルではなく、戦略的に動くスタイルが適していました。
例えば、競争相手が勢いとスピードで攻める営業をしているとき、私はじっくりと関係を構築し、相手のニーズを細かく分析した上で提案を行うことで差別化を図りました。これが結果的にトップセールスにつながりました。
3-3. 行動力の高さ
私は、思い立ったらすぐに行動に移すことが得意でした。営業の場面でも、細かい準備に時間をかけるよりも、まずは実践してみて改善点を見つけるというスタイルで成果を上げていました。たとえば、新しい営業手法を試す際も、躊躇せずに実行し、その結果を分析して次の戦略に活かしていました。この行動力が、営業成績の向上に大きく貢献したと感じています。
瞬発的な対応力は低くても、相手の特徴を分析し、それに合わせたアプローチをする力は優れていました。このため、王道の営業スタイルではなく、戦略的に動くスタイルが適していました。
例えば、競争相手が勢いとスピードで攻める営業をしているとき、私はじっくりと関係を構築し、相手のニーズを細かく分析した上で提案を行うことで差別化を図りました。これが結果的にトップセールスにつながりました。
4. しかし長続きしなかった理由
トップセールスを取ったものの、私はこの成功を長く続けることができませんでした。その理由は以下の通りです。
4-1. 高速回転の営業スタイルに適応できなかった
処理速度の遅さがネックとなり、周囲の営業マンのスピードに合わせることが困難でした。最初は戦略的なアプローチで結果を出せましたが、組織の求めるスピード感に適応し続けることは難しかったです。だからこそ、短期的には爆発的な成績を出すことができたものの、長期的に継続することはできませんでした。
4-2. 自分なりの工夫ができない環境が合わなかった
営業成績が上がるにつれ、会社からは「型にはまったやり方」を求められるようになりました。これは私にとって非常にストレスフルな環境であり、モチベーションを大きく削がれる要因となりました。
4-3. トップを取った後の目標喪失
ADHDの人は、明確な目標がないとモチベーションを維持するのが難しいです。トップセールスを達成した後、「次に何を目指せばいいのか」という目標を見失い、仕事への興味を失ってしまいました。
5. IQの偏りと社会の生きづらさ
発達障害やADHDを持つ人の中には、IQのスコアが非常に高いにも関わらず、特定の分野では極端に苦手な部分を持つ人もいます。例えば、数学や論理的思考に優れていても、日常生活のルーチンワークが苦手であったり、コミュニケーションに苦労する人がいます。
また、いわゆるギフテッドと呼ばれるような、特定の分野において突出した能力を持つ人も存在します。彼らは一般的な基準では非常に優秀と見なされることが多いですが、その一方で、苦手な分野とのギャップが大きく、適応に苦労することがあります。例えば、抽象的な思考や高度な数学的能力を持ちながら、社会性や感情のコントロールが難しいケースもあります。こうした人々もまた、社会の中で生きづらさを感じることが少なくありません。
私自身のIQスコアは以下の通りです。
- FSIQ(全検査IQ): 94
- VCI(言語理解): 88
- PRI(知覚推理): 103
- WMI(作動記憶): 109
- PSI(処理速度): 82
このように、得意な部分と苦手な部分の差が大きいことが、社会での適応を難しくしています。
発達障害やADHDを持つ人の中には、IQのスコアが非常に高いにも関わらず、特定の分野では極端に苦手な部分を持つ人もいます。例えば、数学や論理的思考に優れていても、日常生活のルーチンワークが苦手であったり、コミュニケーションに苦労する人がいます。
6. まとめ
発達障害やADHDを持つ人が社会で生きづらいのは、単なる能力の問題ではなく、社会の構造が私たちに適した形になっていないためです。私自身の営業経験を通しても、適応できる場面とできない場面が明確に存在していました。
社会の多くの場面では、規則を守ること、一定のスピードで業務をこなすこと、定められた手順に従うことが求められます。しかし、発達障害やADHDを持つ人は、その特性上、こうした「決められた型」に適応するのが難しいことがあります。自分のやり方で工夫したい、じっくり考えてから行動したい、変化の激しい環境の中で独自のアプローチを試したい——こうした特性は、一部の職業では強みになりますが、多くの職場ではむしろ適応困難とみなされることが多いのです。
また、発達障害やADHDの特性を持つ人は、長期的な目標を維持することが難しかったり、処理速度の遅さによって周囲とのズレが生じたりすることがあります。組織のルールや社会の期待に沿うことが求められる環境では、そのズレがストレスとなり、適応がより困難になるのです。
社会が求める「普通」に適応しにくいことで、発達障害やADHDを持つ人は自己肯定感を失いやすく、結果として仕事を続けることが難しくなるケースも多いです。しかし、活躍できる場は必ずあります。創造的な仕事や、自分のペースで進められる職業、試行錯誤が求められる環境では、その特性がむしろ大きな強みになります。
社会のあり方がすぐに変わるわけではありませんが、私たち自身が自分に合った環境を探し、特性を活かせる働き方を模索することで、生きづらさを軽減することは可能です。そして、社会全体としても、多様な特性を持つ人が活躍できる環境を整えることが、より豊かで多様性のある社会につながるのではないでしょうか。
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