ADHDでも会社員として生き抜く方法 ~短距離型の私が学んだ

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私はこれまでに何度も仕事を辞めてきました。成果が出ないからでも、やる気がなかったからでもありません。むしろ、やる気に満ちあふれ、短期間で成果を出すことができていた。でも、ある時ふっと力尽きる。心も体も限界を迎え、職場に行けなくなってしまう。そんな経験を何度も繰り返してきました。

このサイクルの裏には、私のADHDという特性が深く関係していました。今回は、そんな私の実体験をもとに、ADHDを持ちながらも会社員として働き続けるために必要だった工夫や対策について紹介します。

ADHDの特性が職場で引き起こす問題

ADHDは注意欠陥・多動性障害の略称で、集中力の維持が難しい、衝動的に行動してしまう、過度に気を使いすぎるなどの傾向があります。私の場合、以下のような問題が頻繁に起きていました。

  • 周囲に気を使いすぎて疲弊する
  • 自分の感情をうまくコントロールできず、ストレスを溜め込み爆発する
  • 頑張りすぎて燃え尽きる
  • 職場での人間関係に過敏になりトラブルが起きる
  • 小さなミスを気にして自信を失う

特に、「頑張りすぎる」という点は、自分の強みであると同時に最大の弱点でした。短期的には高いパフォーマンスを発揮できるものの、無理をしてしまい継続ができない。まさに短距離走型の働き方しかできなかったのです。

働き続けるために必要だったこと

1. 仕事のボリュームを自分でコントロールする

ADHDの私にとって、たくさんの業務を同時に抱えることはパニックのもと。何から手をつけていいか分からなくなり、時間だけが過ぎていくこともありました。

だから私は、仕事の量を自分でコントロールすることを覚えました。

  • 毎日のToDoリストを3つに絞る
  • 繁忙期でも「今日はここまで」と線引きする
  • 引き受けすぎない勇気を持つ

なぜこれが必要だったかというと、頭の中がすぐに情報でいっぱいになってしまい、結果的に何もできなくなるからです。「マルチタスクが苦手」というレベルではなく、「マルチタスクで完全に機能停止する」といったほうが近い状態。だからこそ、まずは「これだけをやる」と視覚的にも明確にすることが、仕事を続けるための土台になりました。

また、実際に仕事量をコントロールできるようになってからは、突発的なパニックが減りました。「まだやらなきゃ」が減っただけで、心の余裕がまったく違うと実感しました。

2. ストレスマネジメントを習慣化する

ストレスをうまく処理できないことが、ADHDにとって大きな課題です。私も過去にはストレスを溜めすぎて、突然出社できなくなったり、職場で感情的になってしまったことがあります。

そこで意識したのが「ストレスを定期的に吐き出す習慣」を持つこと。

  • 日記に気持ちを書く
  • 信頼できる人に話す
  • 軽い運動を日課にする
  • 週に1回は自分を甘やかす日を作る

なぜ必要かというと、ADHDの私にとってストレスは「溜めたことにも気づかず限界を迎える」からです。周囲に合わせようとするあまり、本当は無理していることにも気づけない。でも、毎日「何が嫌だったか」「何が楽しかったか」を書くだけで、自分の心の変化に気づけるようになりました。

その結果、感情を爆発させる前に気づいて対処できるようになり、人間関係のトラブルも確実に減りました。

3. 薬物療法やカウンセリングを活用する

私は何度か抑うつや適応障害を併発し、精神科に通院してきました。ADHDの診断がついてからは、適切な薬を処方され、驚くほど思考が整理されるようになりました。

もちろん、薬に頼ることに抵抗を感じる人も多いと思います。でも、私は「自分の脳の個性に合わせた眼鏡をかけるようなもの」だと考えています。無理に頑張るより、少しのサポートで快適に働けるなら、それも立派な選択肢です。

特に印象的だったのは、薬を飲んだ初日。「頭の中の雑音が静かになった」ように感じました。あれこれ思いついても切り替えられずにいた私の思考が、スムーズに進む感覚を初めて味わいました。

また、カウンセリングも非常に効果的でした。誰にも言えないことを話せる場所があるだけで、気持ちが軽くなり、職場で冷静にふるまえることが増えました。

4. 職場に事情を説明して理解を得る

最初はとても勇気が要りましたが、私は自分のADHDの特性について、上司に説明したことがあります。もちろん、すべてをオープンにする必要はありません。でも、困っていることや苦手なことを伝えることで、配慮してもらえることも多かったです。

たとえば、

  • 会議の前に議題を共有してもらう
  • 忘れ防止のためにメールでフォローしてもらう
  • 業務内容を視覚的に整理した資料を作ってもらう

なぜ伝える必要があるのか。それは「わかってもらえていない」ことでさらに自己嫌悪やストレスが増幅するからです。自分を責める前に、「実はこういう理由で苦手なんです」と伝えるだけで、相手の態度が変わることも多々ありました。

結果として、仕事のやり取りがスムーズになり、余計な誤解やイライラが減ったことを実感しています。

それでも辞めたっていい。大事なのは生き抜くこと

何度も辞めて、何度もやり直してきました。でも、そのたびに「次はこうしよう」と工夫を積み重ねてきました。会社員として長く続けることは、たしかにADHDの私にとって簡単ではありませんでした。

でも、「働き方を工夫する」「自分の特性を理解する」「助けを求める」ことによって、少しずつでも前に進むことができたと思っています。

あなたが今、働くことに苦しさを感じているなら、どうか自分を責めすぎないでください。短距離型でも、工夫次第で長く走ることはできます。そして、どうしても無理なら立ち止まったっていい。大事なのは、あなたがあなたらしく生き抜くことです。


この体験談が、同じように悩む誰かの力になればうれしいです。

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