メンタル不調で会社を休んだら?傷病手当金の受給条件と手続きガイド

年金・手当金ガイド

ADHDなどの発達障害を抱える方は、日々の仕事の中で多くのストレスを感じやすいものです。その結果、うつ病や社会不安障害といったメンタル不調を併発することも少なくありません。

症状が悪化してしまうと、仕事を続けることが困難になり、長期的に休養が必要になることもあるでしょう。そんな時に利用できる制度の一つが傷病手当金です。

本記事では、メンタル不調による長期欠勤時に傷病手当金を受給するための条件や手続き、必要書類、さらに退職後も受給できるケースについて詳しく解説します。

1. 傷病手当金とは?

傷病手当金とは、健康保険に加入している被保険者が病気やケガで働けなくなった場合に支給される給付金です。主に、会社員や公務員が加入する健康保険制度の一環として提供されます。

この制度の目的は、労働者が病気やケガによって収入が途絶えた際に、一定の生活保障を行うことです。メンタル不調による休職も対象となります。

2. 傷病手当金の受給資格

傷病手当金を受給するためには、以下の4つの条件を満たす必要があります。

  1. 業務外の病気やケガであること
    • 労災保険の対象となる業務上のケガや病気は、傷病手当金の対象外です。
  2. 仕事ができない状態であること
    • 診断書などで「労務不能」と証明される必要があります。
  3. 連続する3日間を含め、4日以上仕事を休んでいること
    • 傷病手当金は、最初の3日間(待期期間)を除いた4日目以降から支給されます。
  4. 休業期間中に給与の支払いがないこと
    • 給与が全額支給されている場合は対象外ですが、一部支給されている場合は差額分が支給されることもあります。

3. 傷病手当金の支給額

支給額は以下の計算式で決まります。

例えば、直近12か月の標準報酬月額の平均が30万円の場合、

1日あたり約6,667円の傷病手当金が支給されることになります。

支給期間は最長1年6か月です。この期間内であれば、同じ病気やケガが原因で仕事ができない場合、継続的に受給できます。

4. 傷病手当金の申請手続き

傷病手当金を受給するためには、以下の手順で手続きを進めます。

(1) 必要書類を準備する

  • 傷病手当金支給申請書(健康保険組合または協会けんぽから取得)
  • 医師の意見書(診断書)
  • 事業主の証明(会社に勤務状況や給与の支払い状況を証明してもらう)

(2) 会社に書類を記入してもらう

勤務先の担当部署(総務・人事部など)に「事業主の証明」を記入してもらいます。給与の支払い状況などの確認が必要になります。

(3) 健康保険組合または協会けんぽへ提出

申請書を記入し、必要書類を添えて健康保険組合または協会けんぽに提出します。

(4) 審査・支給

審査が行われ、問題がなければ支給が開始されます。通常、申請から1か月程度で支給されることが多いですが、混雑状況によっては時間がかかることもあります。

5. 会社に協力してもらう必要があるもの

傷病手当金の受給には、会社の協力が不可欠です。具体的には以下の点で協力を依頼する必要があります。

  • 「事業主の証明」への記入
  • 休職の手続き(就業規則の確認)
  • 給与支払い状況の証明

特に、職場によっては傷病手当金の申請に不慣れな場合もあるため、健康保険組合のガイドラインを確認しながら手続きを進めるとスムーズです。

6. 退職後も傷病手当金を受給できる条件

退職後も傷病手当金を継続して受け取るためには、以下の条件を満たす必要があります。

  1. 退職前に傷病手当金の支給を受けていること
    • 退職後に初めて申請することはできません。
  2. 健康保険の被保険者であった期間が継続して1年以上あること
    • 退職前に加入期間が1年未満だと、退職後の受給はできません。
  3. 退職日に「労務不能」の状態であること
    • 退職後に回復した場合、支給は終了します。
  4. 他の健康保険に加入していないこと
    • 退職後に新たな健康保険に加入すると、支給が打ち切られることがあります。

7. まとめ

メンタル不調で長期欠勤を余儀なくされた場合、傷病手当金を活用することで経済的な負担を軽減できます。申請には会社の協力が必要ですが、適切な手続きを踏めば安心して療養に専念できます。

また、退職後も一定の条件を満たせば傷病手当金を受給し続けることが可能です。会社を辞める前に、自分が受給資格を満たしているか確認し、適切な対応を取ることが大切です。

もしメンタル不調で悩んでいる場合は、無理に仕事を続けるのではなく、傷病手当金を活用しながら休養を取ることを検討してみましょう。

※必読※とびーのおすすめ!ADHDの当事者やご家族に一度は読んでいただきたい書籍「ADHD2.0 特性をパワーに変える科学的な方法」

コメント

タイトルとURLをコピーしました